著者
・速水 進治(プレシオ国際特許事務所)・水長 雄大(プレシオ国際特許事務所)・中谷 陽子(プレシオ国際特許事務所)・清水 京(プレシオ国際特許事務所)・萩原 京平(プレシオ国際特許事務所)
体裁
B5判並製本 281頁
趣旨
特許は、事業を守り育てるために取得するものである。特許を取得すること自体が目的化してはならない。事業を守り育てるツールとして機能する内容で特許を取得することを目的とするべきである。 そのような内容を有する特許を取得するためには、研究開発に携わる皆さんの関与が不可欠である。拒絶理由の応答は言葉のゲームではない。本件特許出願の発明の内容と引例に記載された技術内容の双方を深く理解し、その差異を的確に把握した上でロジックを組み立てていくものである。自社の事業が今後向かっていく方向を念頭におきつつ、技術の深い理解に基づいて拒絶理由へ応答するには、研究開発に携わる皆さん自身による分析と検討が不可欠である。
しかし、拒絶理由の応答には、相応の技術が求められる。特許される内容が重要なのであるから、拒絶理由を解消できるかどうかのボーダーラインの近くで頑張らなければならないことも頻繁に起こる。そのようなとき、ボーダーラインがどこにあるかを正確に把握し、拒絶理由を解消するパワフルで訴求力の高い主張を準備する技術が要求される。このような技術は、単に特許庁の審査基準を読んだり、判決例をみたりするだけでは身につかない。実務を数多く経験し、自分の頭で考えることが不可欠である。しかし、研究開発の方々にとって、経験に基づいて特許実務の勉強をすることはなかなか困難である。
こうした事情を踏まえて本書を執筆した。本書では、拒絶理由対応の基本知識から比較的高度な技術まで、ノウハウを含めてわかりやすく解説した。拒絶理由への対応があまり上手でなくても特許されることはある。しかし、優れた対応をすれば特許される確度も高まるし、何よりも望む内容での特許を得ることが可能となる。拒絶理由対応は奥の深い世界である。本書に書かれていることをしっかり身につけていただければ、 これまでとは異なる、高いレベルの拒絶理由対応が可能となるはずである。
事業に貢献する特許を取得するために最も重要なこと― それは、“気迫”だと思う。 特許出願の明細書を準備するとき、拒絶理由対応のとき、異議申立や無効審判、訴訟において特許が攻撃を受けたとき・・・・それぞれの場面において、妥協することなく欲しい権利を確保する気迫。 本書で紹介するさまざまな知識や手法は、この“気迫”を、訴求力のある文書に置き換えるためのものである。
執筆者代表 速水 進治(「緒言」より)